2019年3月 NZ遠征記 (7) 最終回

その(6)からの続きで最終回になります。4/2(火)夜から4/5(金)の帰国まで一気に行きます。

3/25(月)成田 18:30 発 機内泊
3/26(火)オークランド経由クイーンズタウン午後着。テ・アナウへ移動テ・アナウ泊
3/27(水)モンキークリークへドライブテ・アナウ泊
3/28(木)ミルフォードサウンド観光。クイーンズタウンへ移動クイーンズタウン泊
3/29(金)マウントクックへ移動。ハイキングマウントクック泊
3/30(土)テカポで観光 & 買い物マウントクック泊
3/31(日)マウントクックでハイキングマウントクック泊
4/1(月)テカポへ移動 & 買い物テカポ泊
4/2(火)テカポでハイキングテカポ泊
4/3(水)引き続きテカポに滞在テカポ泊
4/4(木)クライストチャーチへ移動 & 市内観光クライストチャーチ泊
4/5(金)クライストチャーチ 5:50発 成田 15:50着帰国

4/2(火) 夜 天候 快晴、テカポで天体写真撮影

昼のうちは雲が多く日が陰ることもあり夜の予報もあまりよくなかったのですが、夕方になると前日よりも雲が少なくなり予報も好転したので、二日連続で星見に行くことにしました。局地的な雲が不安だったので前日と同じテカポの南側のポイントにしました。結果的には薄明開始まで雲の影響はほとんどありませんでした。ただ昇ってくる夏の天の川、とくにたて座より北の部分が北東から昇ることになり、そうするとテカポの町の光害の影響が出ていたので、3/30に使ったテカポより北側のポイントに行けば良かったですね。限られた夜の中でいかに選択するか難しいものです。

この日の直焦点撮影はHEUIBを抜いて横構図にしました。狙ったのは、まずRunning Chicken Nebula (バット星雲) IC2944です。

ニュージーランド 天体撮影 星雲 IC2944 Running Chicken

Kowa Prominar 500mm F5.6L + マウントアダプター TX07T

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 210秒 x7 コンポジット

Vixen AP赤道儀、PHD2 + ToupCam によるオートガイド

前日にHEUIBフィルターありでも撮影していたのですが、HEUIBフィルターありだと天の川に絡みつくような淡い赤い星雲はよりくっきりと写るのですが、その一方で中心部がべたっとした赤い発色となり構造や微妙な色合いの違いが出ませんでした。この対象ではHEUIBフィルターなしの方が自分の好みでした。


直焦点の次の対象が撮影に適した高度に昇ってくるまで時間があったのでカメラレンズでの星野写真に切り替えました。

ニュージーランド 天体写真 天の川 南十字星

Tamron SP15-30mm F2.8, 絞りF4

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 180秒 x8 コンポジット

Vixen AP赤道儀

この日は低緯度オーロラが発生していたようで南の低空に緑や赤の光が発生していました。その低緯度オーロラと思われる光をSamyang 12mm Fisheyeレンズで撮影しました。南向きに撮影しています。

ニュージーランド 天体写真 天の川 南十字星 オーロラ

Samyang NCS Fisheye 12mm F2.8, 絞りF6.7, Lee Soft filter #3

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 300秒 x4 コンポジット

Vixen AP赤道儀

オーロラが写っている低空と地上部分はコンポジットせずに5分露出1枚のみをレイヤー合成しています。そうすることで地上のブレを減らし、かつオーロラの写りがもっともはっきりしているコマのみを使うという意図です。肉眼では南の低空がなんとなく明るいかな?という感じだったのですが、写真にすると綺麗な色が出てちょっと驚きでした。


ふたたび赤道儀にプロミナー鏡筒を搭載して、直焦点撮影に切り替えます。さそり座の南側、さいだん座にあるNGC6188付近の大きな星雲です。

ニュージーランド 天体撮影 星雲 NGC6188

Kowa Prominar 500mm F5.6L + マウントアダプター TX07T

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 210秒 x7 コンポジット

Vixen AP赤道儀、PHD2 + ToupCam によるオートガイド


いて座の南側にある南のかんむり座で天の川から少し外れたあたりの領域です。

2ニュージーランド 天体撮影 星雲 NGC6726 IC4812 南のかんむり

Kowa Prominar 500mm F5.6L + マウントアダプター TX07T

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 210秒 x15 コンポジット

Vixen AP赤道儀、PHD2 + ToupCam によるオートガイド

高度的には日本からぎりぎり撮影できるあたりですが、撮影タイミングが梅雨時に重なるので今まで撮影したことはありませんでした。ニュージーランドの4月でも十分に高度があがりきっておらず30度ぐらいでしたが、今回の遠征における直焦点での最後の対象として撮影したものです。


明け方近くとなり天の川の中心部が高く昇ってきたので、再びカメラレンズの星野写真に機材変更です。その天の川中心部を35mmレンズの3枚モザイクで撮影しました。

ニュージーランド 天体写真 天の川

Sigma 35mm F1.4 DG HSM Art, 絞りF4

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 180秒 x4 コンポジット x3 モザイク

Vixen AP赤道儀

広角レンズの星野写真だと高性能でシャープなレンズを用いてもどうしても解像度が不足する感じがありますが、長めの焦点距離のレンズで3コマモザイクとするとそれを十分に補うことができますね。この画像で一番上のコマはテカポの光害の影響を受けていましたが画像処理で補正しています。

楽しい時間はあっという間に過ぎて薄明開始の1時間以上前から黄道光が見え始め、時間とともに明るさを増していきました。その様子をFisheyeレンズで撮影したのが最後の画像になります。

ニュージーランド 天体写真 天の川 黄道光 対日照 オーロラ

Samyang NCS Fisheye 12mm F2.8, 絞りF6.7, Lee Soft filter #3

EOS 6D SEO-SP4 (UIBAR)

ISO3200 300秒 x4 コンポジット

Vixen AP赤道儀

東の空から昇ってくる天の川中心部、そこにとても明るい黄道光がクロスしていました。そしてその先スピカの辺りにある対日照までつながっているのもわかります。南の空にはオーロラの名残の色が残っています。天の川中心方向を星野写真で納めるのも目標の一つだったので黄道光が出てきたときには困ったな、という思いもあったのですが、こういう眺めを見るとそんな思いも吹き飛んでしまいました。もちろん直焦点や星野写真も良いのですが、地上を含めた写真の方が思い出にはなりやすいですね。

4/3(水) 天候 雲が多いながらも晴れ、テカポ最終日

テカポ最終日はのんびりとテカポの湖畔を散歩したりして過ごしました。夜も雲が多く機材は早々にパッキングに備えて分解、スーツケースへの詰め込みを行いました。

テカポではRyutaoさんも紹介されているPeppers Blue Water Resortを選びましたが、1Fと2Fのある広いメゾネットタイプで設備の整った部屋を選んだこともあり、とても気持ちの良い滞在ができました。ただその分お値段もするので複数人でルームシェアというのがお薦めです。

4/4(木) 天候 曇り、テカポからクライストチャーチに移動

テカポを10時にチェックアウトして、そこからクライストチャーチまで2時間ほどです。市内の観光をしましたが、想像していたより2011年の震災からの復興途上だなという印象でした。市内の中心部でも建設中の建物や空き地を結構見ましたし、大聖堂もあまり修繕が進んでいるようには見えなかったです。それでもお店やレストランの印象は良かったです。中心部は一方通行の道路も多く、目指す場所まで車でたどり着くにはGoogle Mapの助けが必要でした。

帰国便が早朝発のためどうしてもクライストチャーチに一泊する必要があるのですが、この最終日をどう使うかが悩ましいですね。次回は近郊のアカロアの観光も良いかなと思っています。

最終日の夜はホテルを取らずに空港で夜を過ごすという方も結構いらっしゃるようですが、そのあと日本までの長時間フライトがあることを考えて私は空港の目の前のホテルに泊まりました。

4/5(金) クライストチャーチからオークランド乗り継ぎで帰国

最終日はホテルを4時過ぎにチェックアウトして(さすが空港の目の前のホテルなので、この時間でも何の問題もなくチェックアウトできました。早朝だとホテルによってはなかなかフロント係が出てこなかったりとか事前連絡や電話が必要だったりするんですよね。。) レンタカーを空港の駐車場にあるレンタカー会社ごとのスロットに停めて、キーをボックスに返却しました。

空港のカウンターが何時から開いているかか少し気がかりだったのですが、この時間で普通にオペレーションしていました。最近はチェックインは24時間前からのオンライン、もしくは空港カウンター前にある機械でのチェックイン(オンラインチェックインした場合にもここで機械で航空券を印刷します)を済ませておいてから、有人のカウンターでは荷物の預け入れのみというのが多いですね。カウンターにはBaggage Dropと示されており、チェックインを済ませていないのにそこに並ぶのはダメなので注意が必要です。

クライストチャーチ空港ではスーツケースへのタグの貼り付けは自分たちでやって(航空券のチケットを印刷するときに荷物のタグも一緒に出てきます。)、職員はそれをスキャンして登録するだけという方式でした。スーツケースの重量チェックもなかったです。すぐ近くに量りはおいてあったので、職員がスキャンの際にこれは重そうだぞと思ったらそこでチェックするのかもしれないですね。成田では従来通りカウンターで重さを測るので23kgの制限を守る必要はありますが。

こういう方式で乗客もまだそれほど多くなかったこともあり、チェックイン関連の手続きはすぐ終わったのですが、空港のセキュリティチェックが始まるのが5時からということで結局そこで待たされました。

帰りは預けたスーツケースは乗り継ぎ地のオークランドで受け取る必要はなくそのまま成田に送られることもあって、スムーズに乗り換えできました。NZ航空の成田 - オークランド便は機材にボーイング787を使っているのもよいのかフライトの疲れもそれほどではなかったように思います。トラブルもなく同日の夕刻、成田に到着しました。

まとめ

4日間星の撮影ができたこともあり大満足のNZ旅行でした。トレッキングは行きたいと思っていたコースが2つもクローズされていて歩けなかったという消化不良のところはありますが、それでも大自然を満喫できました。

景色としては最初に行ったミルフォードサウンドとそこに至る途中の眺めが大迫力で感動しました。天体でNZに行かれる方だとなかなかミルフォードサウンドまで行く人はいないとは思うのですがお薦めの場所です。そこまで行かなくともマウントクックであればテカポからは近いですし、お手軽なトレッキングコースがあって氷河を見ることもできるので良いかと思います。

南半球での天体観測を目的とした旅行の場合オーストラリアが人気であるように思いますが、天体だけでなく観光とくに大自然を楽しみたいという人にはNZがぴったりだと思います。レンタカーで自由に動き回れるかでも違うかもしれませんね。晴天率がやや不利かもしれませんが、テカポ周辺ならそれほど悪くはないような印象を受けました。私自身これだけ満喫してもまたの訪問が楽しみです。


NZ遠征 (1) 入国、テ・アナウへ

NZ遠征 (2) ミルフォードサウンド

NZ遠征 (3) マウントクックでハイキング

NZ遠征 (4) 天体写真撮影

NZ遠征 (5) マウントクックでハイキング & テカポ

NZ遠征 (6) 天体写真撮影 &マウントジョンでハイキング

NZ遠征 (7) 天体写真撮影 そして帰国 (この記事です。)

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コメント

Bosohoshimisuto
こんにちは。
NZ遠征記、楽しく読まさせていただきました。
私は2016年末にNZへ行き、星撮りをしてきました。マウントクックビレッジに2泊、クインズタウンに3泊、テカポには日中に訪れました。
記事を読んでいると、またNZへ行ってみたくなりました。

コメントありがとうございます

TK_Starlight
Bosohoshimisuto さん、外出自粛でブログネタがない中7回にもわたって引っ張ったNZ遠征記をお読みいただきありがとうございます。
マウントクックビレッジとクイーンズタウンに滞在されたのですか、いろいろと充実されていたことかと思います。NZは何度行っても楽しめそうなところですよね。また訪問される機会があると良いですね。
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