Nikon Zレンズではピント合わせのためのフォーカスリングは電子制御となっています。レンズにあるフォーカスリングと、光学的なフォーカス位置は直結しておらず、フォーカスリングの回転が検知されるとそれを受けてカメラがモーターによって光学的なフォーカスを動かす仕組みになっています。これによるメリットは例えば以下のような制御が可能ということになります。
一方でフォーカスリングの物理的な回転位置とレンズフォーカスとの関係が一定でない(ある回転位置における光学的なフォーカス位置が条件によって異なる)ためにZレンズにはピント位置の距離刻印がありません。一部の高価なレンズでは液晶画面によって距離表示をしています。
この仕様は天体撮影時には困ることがありました。従来のレンズであれば、MFにセットしておけばフォーカスリングの物理的な回転位置とレンズフォーカスとの関係は必ず一致している、つまりフォーカスリングが回転しなければレンズのピントはずれないので、星にピントを合わせたあとテープでフォーカスリングを固定しておけばよかったのですが、Zレンズではこの方法が使えません。MFにセットしておいてもカメラ側から(フォーカスリングの物理的な回転なしに)勝手にピント位置を変更してしまうような動作をすることがありました。
Z7・Z6が発売されて一部のユーザーから指摘されていたのが、電源を切ってしまうと次の電源オン時にレンズのフォーカス位置をリセットしてしまうという動作です。これによってピントを合わせてフォーカスリングをテープで固定しておいても電源を切ってしまうと次のオンのときにはピントがずれてしまうことになります。
先日この問題に対応したファームウェアVer3.30がようやくリリースされたので、さっそくZ6のファームウェアをアップデートしました。
このVer3.30にすると、フォーカス位置の記憶というメニューが追加されます。これをONにセットしておけば、電源を切ってもその前のフォーカス位置を記憶しておき次のオン時にはその位置に戻してくれます。
以前のファームウェアでも電源を切らずにタイマーでスタンバイになる分にはフォーカス位置はリセットされなかったので、Zレンズを使っての天体写真撮影中は電源を切らないよう注意することで対処していたのですが、これで電源オフにしてもピント位置の心配をする必要がなくなったので安心です。ちなみにZ7II、Z6IIでは発売当初からこの問題には対処されていたようです。
Author:TK_Starlight
綺麗な眺めに魅かれて星空・風景・花などの写真を撮っています。
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