M27星雲のカラーバランス

こぎつね座の天の川の画像撮影時にはHEUIB-IIフィルターを用いました。赤い散光星雲をよりはっきりと写し取るのがその目的です。HEUIB-IIフィルターは天の川の色合いなどにはあまり影響が出ず使いやすいフィルターなのですが、明るい散光星雲のマゼンタっぽい色合いが失われて真っ赤になってしまう欠点があります。それに加えて、今回惑星状星雲であるM27のカラーバランスが大幅に崩れてしまうという問題が出ました。

惑星状星雲 亜鈴 M27 HEUIB-II Nikon Z6 HKIR改造

一般にM27は緑の発色で撮影されるのに対してずいぶんと赤にシフトしています。最近ある方のブログで星雲の発色はフィルターによってカットされた波長があるという理由に加えてRAW画像を現像するときのホワイトバランスの影響もあるという記事を拝見したので、今回の画像処理においてホワイトバランスについて試してみました。この画像をAdobe Lightroomで現像したときのホワイトバランスのパラメーター(色温度、色かぶり補正)は以下のようになっています。背景がなるべくニュートラルグレーになるようにしています。

惑星状星雲 亜鈴 M27 HEUIB-II Nikon Z6 HKIR改造 ホワイトバランス


これらのパラメーターをHEUIB-IIフィルターを使用せずに撮影したときに使う数値にしてみました。色温度を5300から3000に、色かぶり補正を+66から-36に変えています。

惑星状星雲 亜鈴 M27 HEUIB-II Nikon Z6 HKIR改造 ホワイトバランス

背景が緑 - シアンにずいぶんと偏ります。画像全体はこんな感じになります。

惑星状星雲 亜鈴 M27 HEUIB-II Nikon Z6 HKIR改造 ホワイトバランス

これだけ背景や星の色のホワイトバランスが崩れてしまうとこのままで処理を進めるのは厳しいのですが、M27だけを見てみるとまずまずの色合いとなっています。M27をピクセル等倍で拡大です。

惑星状星雲 亜鈴 M27 HEUIB-II Nikon Z6 HKIR改造 ホワイトバランス


そこでこのホワイトバランスを変えた画像からM27のところだけを切り出して、最初の画像にレイヤー合成で当てはめたのが下の画像です。よく見る緑のM27とは違って青っぽい色合いになっていますが、それでも通常のHEUIB-IIフィルターでのホワイトバランスによる赤に偏った発色処理よりは自然な印象を受けます。今回の画像はこのような処理にて仕上げました。

惑星状星雲 亜鈴 M27 HEUIB-II Nikon Z6 HKIR改造 ホワイトバランス


HEUIB-IIフィルターは淡い散光星雲を撮影するときに効果的ながら、星雲によっては色合いが変わってしまうのがすこし悩ましいポイントでした。オリオン座三ツ星のすぐ左にある"燃える木"星雲 NGC2024がその例です。機会があれば、そういった星雲にも今回のホワイトバランスを変更する処理を行ってどうなるか見てみたいですね。

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コメント

とら次郎のとうちゃん
画像処理の工程が詳しく説明されていてとてもわかりやすいです。2・3枚目の操作画面を見るとさすがadobeという感じで使いやすそうなソフトですね。最後の1枚、自然な色合いでバランスがとれてますね。

Adobe Lightroomで現像・管理

TK_Starlight
RAWからの現像はずっとAdobe Lightroomを使っています。現像したあとの状態での撮影画像の閲覧・アルバム管理もやりやすくて天体以外の画像であればLightroomを使うだけで済ますことができます。キヤノン、ニコンなどメーカー純正のソフトウェアは使ったことがないですね。
M27の最初の色を見た時はちょっと頭を抱えたのですが、自然に仕上げることができて幸いでした。
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