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短時間露出でM42の白飛びを抑える (2)
2020
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01
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18
画像処理
前回からの続きです。ベースを1分露出に、白飛びしていたエリアを中心に投げ縄ツールで選択した範囲を15秒露出のコマとし、そのままでは不自然だったので15秒露出のレイヤーの不透明度を40%にさげました。
投げ縄選択 & レイヤーマスク追加 (繰り返し)
まだトラペジウムがはっきりしないので、そこには6秒露出のレイヤーを使います。前と同じ処理の繰り返しですが、投げ縄ツールによって輝度が高いところ、そしてそこより少し広めのエリアを選びます。
そして選択範囲の境界をぼかしたのち(今回は20ピクセルの範囲でぼかしました)、6秒露出のレイヤーに対するマスクとします。(前回と同じ処理なので説明は簡略化しています。)
前回と同じく6秒露出のレイヤーが暗すぎて不自然なので調整が必要です。不透明度を低くしてもいいのですがここでは80%まで下げるにとどめて別の方法で調整する(明るくする)ことにします。
調整レイヤーとクリッピングマスク
調整レイヤーとしてトーンカーブを追加します。このとき右下のレイヤーリストにおいて調整対象である6秒露出のレイヤーを選択した状態で、新規調整レイヤーメニューに入ります。
そして表示される新規レイヤーの設定ウィンドウにおいて、クリッピングマスクをチェックして選択します。
このクリッピングマスクというのは、このときに作成される調整レイヤーが適用されるのをすぐ下にあるレイヤーのみ(この場合は6秒露出のレイヤー)に限定するためのオプションです。追加されたトーンカーブレイヤーの左側にある下向きの矢印がクリッピングマスクとなっていることを表しています。
これに対してクリッピングマスクを指定しないと、調整レイヤーより下側にある全てのレイヤー、この場合であれば1分露出、15秒露出、6秒露出の3つのレイヤーすべてが対象になります。
そしてそのトーンカーブを調整して6秒露出のレイヤーを少し明るくします。
しかしこのトーンカーブだけでは不自然さを調整しきれなかったので、結局15秒露出、6秒露出両方のレイヤーの不透明度を再調整、さらには15秒露出のレイヤーにも調整レイヤー(トーンカーブ)を追加しました。
この追加したトーンカーブレイヤーもクリッピングマスク(レイヤー左側に下向きの矢印あり)として、その下の15秒露出のレイヤーだけに適用されるようにしています。
調整レイヤーを新規に作成するときにクリッピングマスクを指定するのを忘れてしまった場合でも、あとから指定できます。変更したい調整レイヤーを右クリックで選ぶと出てくるメニューにその項目があります。この項目で調整レイヤーの左側に出てくる下向き矢印をオン・オフできます。
3秒露出レイヤーで繰り返して仕上げ
調整レイヤーを2つ用いて、あとは15秒露出レイヤーの不透明度を50%、6秒露出レイヤーの不透明度を60%としたらよい感じになったので、最後の3秒露出のレイヤーに行きます。再び投げ縄ツールで3秒露出レイヤーを使いたいエリアを指定します。
今までと同様に選択範囲の境界をぼかし、レイヤーマスクを作成しました。トラペジウムはくっきり見えるようになりましたが、やはりそのままでは不自然ですね。
ですので同じく不透明度の調整、調整レイヤーの追加と行っていきます。今回は3秒露出レイヤーの不透明度は60%としました。不透明度を低くすれば不自然さが減りますが、逆に短時間露出の効果が弱まるので、どこが良いバランスかをみることになります。さらにトーンカーブをこちらのようにして3秒露出レイヤーの明るさを少し持ち上げます。
ここまで各レイヤーを調整しながらレイヤー合成をすることで、トラペジウム四連星を見せながら不自然さを感じない仕上がりとなったと思います。これにてレイヤーを統合して完成です。
今回は15秒露出のあとにすぐに6秒露出を使うようにしましたが、15秒露出のレイヤーをもう1枚コピーしてそこでは1回目よりは狭い範囲を選択し、その代わりにレイヤー不透明度をあまり下げないようなレイヤーを入れてもよいと思います。そうすると6秒露出やそれ以下のレイヤーが馴染みやすくなるのではと思います。このあたりは画像の様子を見ながら臨機応変に対応します。
まとめ
このように一般的に行われている加重平均に短時間露出のコマを追加する方法に比べると手間がかかりますし、事細かに調整を繰り返すことになります。ここまで手間・時間をかける意味があるかはもちろん人それぞれの判断だと思います。
その一方で、ここで紹介した
・ 投げ縄ツールで選んだのち境界をぼかす
・ 選択範囲をレイヤーマスクとする
・ 調整レイヤーの追加とクリッピングマスクの扱い
といった操作はPhotoshopでの画像処理において頻繁に使用するコマンドです。こういった操作に慣れることで画像処理の引き出しも増えていくと思います。
今回の説明では投げ縄ツールで選んだ範囲をレイヤーマスクとする操作が中心でしたが、その一度作成したレイヤーマスクのエリアを変更したい(もっと広く・狭くしたい、星マスクと併用したいなど)といったことも実際の処理の中では発生しますので、そのようなことにも対応できるようになるとまた処理の幅が広がります。
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