ハイキングにもいろいろな場所がありますが、私が好きなのは北アルプスなどの森林限界を超えたあたりから雄大な山々の眺めを楽しめるハイキングコースです。そんな中から一番のお気に入りと言ってもいい八方池へのハイキングコースを紹介します。
なお私が紹介するハイキング・トレッキングコースには登山道とされる箇所が含まれることもあり登山装備(シューズ、バックパック、速乾性ウェア、レインコート、水分、行動食など)は必須です。
八方尾根のゴンドラ・リフトを乗り継いでスキー場トップから歩き始めれば、標準コースタイム1時間で到着する八方池からは天気に恵まれれば白馬三山やそこから左につながる険しい不帰の険、そして反対側には五竜岳、鹿島槍ヶ岳と素晴らしい山々の眺めを見ることができます。白馬の山並みを八方池のリフレクションとした構図が有名ですね。山の眺めだけではなく梅雨明けにはたくさんの高山植物の花を見ることもできます。
リフト終点にある八方池山荘のところからすぐに木道コースと稜線コースに分かれますが木道コースの方が楽です。両方のコースは途中2か所で交わりますが、最初だけ稜線コースで歩きそのあと木道コースに移るのが一番効率がいいと思います。稜線コースであれば白馬側の眺め、木道コースであれば五竜側の眺めと高山植物を楽しめます。
木道コースは八方尾根の南側、五竜岳側を通っていきます。夏の早い時期には高山植物の花が咲く穏やかな斜面です。
そこから彩鮮やかなところをうまく切り取ればこんな感じです。
登っていくと五竜岳が見えてきます。
木道コースはその名の通り歩きやすい木道が整備されており、ところどころにはベンチもあります。ベンチのある辺りは比較的遅い時期まで雪渓が残っていることがあります。
コース上一つだけあるトイレの辺りで右手からくる稜線コースと合流すると、稜線に上がったために白馬側の眺めも広がるようになります。左から白馬鑓ヶ岳、杓子岳、その右奥で暗めのグレーに見えているのが白馬岳でこの三つで白馬三山と呼ばれています。手前の木はナナカマドなので秋には赤く紅葉するのでしょうね。
高山植物の花が咲いているエリアもあります。見えている紫の花はマツムシソウです。
足元にやや岩がごろごろして歩きづらい急な登りを超えると行く手の眺望が一気に開けます。ギザギザした形の不帰の険、その手前のくぼ地にあるのが目指す八方池です。
ここからはコースが二手に分かれ、右側には下りながら八方池につながる道、左側は稜線を行く道となります。左側の道はこのような感じです。五竜岳とその左奥には鹿島槍ヶ岳が見えています。
右手には八方池を見下ろします。
この先にお気に入りの撮影ポイントがあります。手前に花を入れて八方池を見下ろし、背景には白馬三山の雄大な眺めという構図です。手前の花を入れるには20mm以下の超広角レンズがあった方が構図を撮りやすいかもしれません。
左のコースからも八方池に出ることができます。有名なリフレクションのポイントは池のほとりに設けられた木製デッキからになります。八方池は一周することはできないので撮影ポイントを行ったり来たりすることになります。
八方池はとても人気がある場所ですから上の画像のようにどうしても多くの人が写り込んでしまいます。人影のない八方池を撮りたいのなら、お薦めは黒菱林道をあがったところにある黒菱駐車場からのアプローチです。リフトを使わずともスキー場の中の道を1時間弱歩けばリフト終点のスキー場トップまで行くことができます。
リフト2本分を歩くのですが、1本目が終わってそのリフト降り場の辺りで次にどちらに進めばいいのかわかりにくいかもしれません。下の地図で黒菱平となっているところです。左手には最後のリフト乗り場があるのですが、そちらではなく右手にハイキングコースの入口があります。
リフト稼働前の早朝から歩けば、人がいない八方池(同様に黒菱から来た人や八方池山荘に宿泊していた人が数名いたりはしますが)を撮影することができます。
もう一つのメリットは天候です。山の天気は不安定と言いますが、それは夏場はとくに気温上昇に伴って雲が発生し雷雨に至ることもあるからです。気温が上がらない早朝ほど雲に邪魔されない可能性が高くなります。八方尾根のゴンドラ・リフトは比較的早い時間から稼働していますが、それでも黒菱を夜明けに出れば、日の出の風景や早朝の斜光線の中で撮影可能です。
下の写真は黒菱を5時ごろに出発して八方池に7時ごろ到着したときのものです。全く人が写り込んでいない八方池リフレクションです。
もっともこのときは八方池からさらにその先、唐松岳までの日帰りトレッキングでした。八方池は唐松岳頂上までのおおよそ1/3にあたります。頂上往復で標準コースタイムは6時間ほどになります。八方池から少し登ったあたりから見下ろした八方池です。
このような素晴らしい眺めを見ることができるかどうかはもちろん天候に依存します。私もこのような晴れに恵まれたのはようやく3回目の訪問のときでした。それまでには雷雨にあってしまったこともありました。夏山登山の基本である朝一からの行動とするのはもちろんのこと、重い交換レンズや三脚の携行は体への負荷が大きいのでトレッキング・登山の経験がない方にはお薦めできません。
いつかナイトハイクをして不帰の険に沈む夏の大三角、白馬三山と八方池を見下ろす秋の天の川といった星景写真にチャレンジしてみたいのですが、近年の夏場の天候不順もあり、なかなかチャンスがないですね。
Author:TK_Starlight
綺麗な眺めに魅かれて星空・風景・花などの写真を撮っています。
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