天体観測用PCとモバイルバッテリー

ここのところUSB Type Cポートを持ち、そこからの給電に対応しているPCが増えてきています。USB Type Cからの給電、いわゆるPower Delivery (PD)に対応しているとAC電源アダプタが専用品ではなく汎用品が使えることに加えて、モバイルバッテリーでも給電できるようになります。これは長時間使い続ける天体観測用PCにとっては大きなメリットとなります。

USB C 給電 対応 PC


USB Type C PDの規格

USB C PDの規格は様々な機器に対応できるよう少し複雑になっています。電圧、電流容量ともに何種類か定義されており、その中から使用する電圧・電流容量の組み合わせを選択します。まず電源供給側となるAC電源アダプタの方を見てみましょう。貼られているラベルに電圧・電流の記述があります。

USB C PD 電源 電圧 電流

三通りの組み合わせが記載されています。

  • ・ 20V / 2.25A (= 45W)
  • ・ 12V / 3A (= 36W)
  • ・ 5V / 2A (= 10W)

この電源アダプタは20V、12V、5Vの3つの電圧を出力可能であり、それぞれの電圧における最大電流も知ることができます。

給電を受ける側のPCのラベルはこうなっています。

USB C PD 電圧 電流

こちらは電圧は20Vだけですが電流に二通りの記載があります。

  • ・ 20V / 2.25A (= 45W)
  • ・ 20V / 3.25A (= 65W)

この二つの組み合わせのどちらかで給電を受けることを期待していることがわかります。USB C PDでは給電する側・給電を受ける側のそれぞれの電圧・電流要件が一致したら実際の給電動作が行われるので、この電源アダプタとPCの組み合わせでは、20V / 2.25Aにて動作することになります。

従ってこのPC用の汎用AC電源アダプタやモバイルバッテリーを探すのなら、20V / 2.25A あるいは 20V / 3.25Aを出力可能なものが必要になります。


USB C PD対応 モバイルバッテリー

20V / 2.25AでのUSB Type C PDに対応しているモバイルバッテリーはそれほど種類は多くありません。海外ブランド品を選ぶ場合には品質面からアメリカなど大きな市場で販売されていて、ある程度名の通ったものを選びたいところです。ブランドとしてはAnker、RAVPowerといったあたりだと思います。

Ankerのこちらの26800mAhのものなど良いかもしれないですね。USB Cの出力は20V/2.25A、15V/3A、9V/3A、5V/3A となっています。


付属の充電器はこのモバイルバッテリーにだけでなくPCにも使えそうです。バッテリー容量のWh表記がないので正確なところはわからないですが一般的な98Wh程度であれば、PC本体のバッテリー容量が50Whちょっとなので、その2倍の容量になるので一晩の観測に対して安心ですね。


またモバイルバッテリーだけでなくシガーソケットからの充電器もあると便利です。車でPCやモバイルバッテリーを急速充電できますし、天体観測時にディープサイクルバッテリーなどの大型電源を使っているのであれば、そこからPCに電源供給ができます。USB PD 45Wに対応したものはいくつか販売されているようですが、例えば日本メーカーから出ているこちらのものは、PD出力は 5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/2.25A(最大45W)となっています。



まとめ

天体観測に使用するPCがUSB Type C給電対応となっているとモバイルバッテリーなど電源の自由度が高く便利ですが、きちんと使いこなすにはある程度の知識が必要です。使っているPCの仕様を確認したうえで対応する機器を探しましょう。なおUSB Type Cはまだ普及が始まったばかりの規格ということもあり互換性の問題が出やすいように思います。仕様として動作するはずの組み合わせでも実際にはうまく動作しないということが発生する可能性があります。購入前に口コミの書き込み内容などをチェックした方がいいかもしれませんね。

一方でUSB C PD対応モバイルバッテリーは、従来のUSB A 5Vのみの出力のものに比べてずっと大きな容量(W)の出力が可能になり、PCだけでなくいろいろな天体観測用機器の電源として使える可能性があります。例えば、Nikonカメラは短い時間ながら大きな電流を必要するため通常のUSB 5V出力モバイルバッテリーを外部電源に用いても安定動作しない場合があります。PD対応のモバイルバッテリーであれば、5Vではなく高い電圧を使用することでNikonカメラの外部電源用にも使えそうですが、それには電子工作が必要です。興味のある方は"USB PD トリガーデバイス"といったキーワードで検索してみてください。

関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

TK_Starlight

Author:TK_Starlight
綺麗な眺めに魅かれて星空・風景・花などの写真を撮っています。

カテゴリ

検索フォーム

にほんブログ村

天体写真人気ブログ ランキング

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

コメント

ご無沙汰いたしております

ryojin
ご無沙汰いたしております。
最近のPCは省電力で遠征にはありがたくなってきましたね。
USB給電とはいかないのですが、最近、DC-DCコンバータを
アマゾンで見つけて使うようになり、目に見えてバッテリーの減りが
少なくなったような気がしています。やはり100V昇圧はデメリットが
大きかったのでしょうか。
電源も今までのディープサイクルバッテリーからリチウムイオンバッテリーに
変わろうとしていますね。より軽量になってよいことですね。

お久しぶりです

TK_Starlight
ryojinさん、こちらこそご無沙汰しております。また始めたばかりのブログへのご訪問、ありがとうございます。
今までですとPCは天体観測機器の中で電力消費が大きかったですから、そこが改善すると全体の中で低減の割合としては大きいのでいろいろと助かるかと思います。100V昇圧は効率がかなり悪いですからDC-DCコンバーターだとずいぶんと改善したのではないでしょうか。PC関連の情報はまたいくつか記事にまとめたいと思っています。
おっしゃるように電源自体もリチウムバッテリーへというのが流れとしてできていますね。軽量で扱いやすいですし、リサイクル・破棄の対応もしやすいのではと思うので、私も次の買い替えは検討することになると思います。
非公開コメント