モザイク撮影での色合わせ

先日の伊豆遠征ではGSO 20cm鏡筒による8コマモザイクで魔女の横顔星雲IC2118を撮影しました。モザイク撮影からコマ合成を自動処理してくれるソフトウェアはありますが、経験上そのような自動処理は光害カブリやフラット補正の不完全さの影響によって不自然さが残ることが多いのでAdobe Photoshop上でマニュアルにて処理しています。位置合わせまでは比較的簡単に進められるのですが、コマ間の輝度・色合わせがとても手間がかかります。こここではその色合わせ処理について一部紹介します。

強調レイヤーを追加する

RAW画像からホワイトバランスを整えてノイズ低減処理をかけた状態でPSDファイルに出力してモザイク処理を開始します。下の画像は位置合わせは完了し、そのあとコマ間の色合わせは大まかに終わった状態ですが、強調処理はまだ入れていないため星雲など微かにしか見えていませんし、コマ間の差がわかりにくいです。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop


そこで強調するためのレイヤーを2つ追加しました。トーンカーブを使っています。こうやって強調するとコマ間の違いもよく見えるようになります。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop


今回はフラット補正がきちんと決まってくれず、左・左下に向かって光害カブリのような黄色に偏りつつ明るくなっている傾斜、あとは上の縁がミラーケラレのように暗く落ち込んでいます。(ミラーレスなのでケラレはないはずなのですが) 右上に向かっても暗くなっていますね。

レベル補正にてコマごとに調整

部分的なずれは後回しにしてまずはコマ全体のトーンを合わせます。下の画像では左側の列の上から2番目のコマが周りのコマより少し明るい状態になっています。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop

そのコマに対して、レベル補正を調整レイヤーとして追加します。クリッピングマスクを指定することでそのレベル補正レイヤーは直下のレイヤ(ここでは"レイヤー4")に対してだけ効果が働くようになります。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop レベル補正

(1) 輝度を調整するのであればチャネルとして"RGB"を選びます。(2)の数字を増やせば暗くなり、(2)は"0"のままで(3)の数字を増やせば明るくなります。

輝度ではなく特定の色のを調整したいとき、たとえばこのコマだけ赤が強いといったときには、(1)のチャネルを該当する"R"を選んだうえで、(2)もしくは(3)の数字どちらかで赤を弱めたり、強めたりすることで調整します。私の場合レベル補正のこの3か所をいじるだけでコマ間の色合わせをするようにしています。

不透明度の調整

コマ間の違いを追い込んでいくにつれてより微妙な調整が必要になってきます。一番上に強調レイヤーを入れているために、それより下側のレイヤーで調整をかけるとレベル調整で数値として1変えただけでも変わりすぎということが出てきます。そのようなときにはその調整レイヤーの不透明度を変更することで対応できます。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop 調整レイヤー 不透明度

この例では、レベル補正で"1"明るくなるようにしたうえで不透明度を70%にしているので、1 x 70% = 0.7だけ明るくするという調整になります。この不透明度のパーセントはあまり厳密に決める必要はなく、おおよそ10%、20%単位で調整すれば大丈夫です。

ただし私のPhotoshop環境では、調整レイヤーの不透明度を変更しても表示がそれに対応してきちんと反映されません。50%より大きな数字だと100%相当、50%より小さいと0%相当に表示されるというかなり大雑把な表示方法となってしまっており、きちんと入力通りに反映させるには、"下のレイヤーと統合"を選んで調整レイヤーを対象のコマに統合する必要があります。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop 調整レイヤー レイヤー統合

なので調整レイヤーのレベル補正の値が決まったら私はどんどん統合するようにしています。やり直しができないことを不安に思うかもしれませんが、調整に失敗していたのが判明してもまた調整しなおせばいいと割り切っています。こういうやり方なので、調整レイヤーが何十もできているというようなファイルの状態にはならないですね。実際には何十回と調整レイヤーを追加しますが、追加するたびにどんどん統合してしまうのでレイヤーが残った形にはなっていないです。要所要所では"別名にて保存"を行っていわゆるセーブポイントとして途中からのやり直しが可能であるようにはしています。

ただしレイヤー統合に用いるコマンドは前述のとおり"下のレイヤーと統合"で、あくまでもクリッピングマスクをかけた調整レイヤーがその対象となるコマにだけ統合されるようにする必要があります。もともとのモザイクの各コマは独立したレイヤーとしてキープしておきます。

このあとは部分的な補正

ここまではマスクは使っていないのでコマ全体のトーンとしてばらつきがないように補正をかけてきましたが、この先は左下の輝度の傾斜であったり上の端にある輝度の落ち込みを部分的に修正をかけることになります。グラデーションマスクや投げ縄による選択で補正する領域を指定してトーンカーブやレベル補正で修正をかけていくのですが、ここに一番時間がかかりますね。

この記事の上から2番目の画像はまだコマ間の境界で違いが目立ちますが、この状態でもPhotoshopの"レイヤーの自動合成"コマンドを使用すると境界部分はうまくつなげてくれます。それが下の画像です。

天体写真 モザイク撮影 画像処理 Photoshop レイヤーの自動合成

各コマの全体的なトーンはほぼ合わせてあったので、これでもそれほど破綻がない状態にはなっていますが、どこまで細部にこだわるかですね。左側に存在した輝度の傾斜のせいで左の縁、および中央縦方向(左列と右列の境界だったところ)にやや不自然な明るさ・黄色への偏りがあるのが私としては気になります。

コマ間調整が終わったあとの最終仕上げにこのレイヤー自動合成機能を用いるので、モザイクの各コマは独立したレイヤー(8コマモザイクなら8つのレイヤー)としてキープしておく必要があります。

自動処理と比べて

モザイク合成においては以下のような処理が必要になります。

  • 1. 位置合わせ
  • 2. コマ同士の輝度・色合わせ
  • 3. フラット補正の修正・光害カブリ除去
  • 4. 繋ぎ目の処理

自動で行ってくれるPhotoshopのPhotomergeなどであっても、2と3をあらかじめきちんと処理しておかなければ良い結果が得られませんが、前述のように一番大変なのは3でその次が2です。4は自動レイヤー合成機能でマニュアル操作の中でも自動化できるので、私にとって違いは1だけとなります。1にかかる手間(私はPhotoshopのパペットワープを使います)は2や3と比べればずっと少ないですし、Photomergeではつなぎ目の重なり(糊代部分)を大きく取らないとうまく自動整列できないという制限があります。

以上のことから私は自動処理は用いずにマニュアルにてモザイク合成を行っています。ただ2コマ、3コマ程度のモザイク撮影であれば、コマ間の違いがあまりない状態(光害カブリの影響に差がないなど)で撮影を行える場合があると思いますので、そのようなときは自動処理一発でもよい結果が得られると思います。また最近では3の処理もうまくやってくれるアプリがありますので、そのような処理を済ませてからモザイク合成に進むとすれば良いかもしれませんね。


今回は現時点2が終わったところですので、仕上がるまでまだまだ時間がかかりそうです。

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